
2011年10月17日 by 佐々 淳一 おすすめ度 ★★★★☆
見城 徹・藤田 晋 (著) /¥1,365(講談社)

ビジネスマンの心構え
30歳になってからの5年を振り返り、さらに40歳になるまでの5年をどのように時間を費やすか、を考える折り返し地点の35歳。節目であるこのタイミングに本書と出会えたのはラッキーだったかもしれない。
本書をあえて一言で表現するならば、「背筋がピンと伸びる」本。
ビジネスマンとしての仕事に対する取り組み方、考え方をここにきて叩き込まれた気分。何をやってもうまく行きそうにない昨今の経済状況のなか、忘れかけていたビジネスに対するスタンスを呼び戻してくれた。
幻冬舎の見城氏とサイバーエージェントの藤田氏が、見城氏の35の名言に対し解説をするといった内容の本書。両者の意見が割れることもあり、少々極端な考え方や言い回しもあるが、本質的には言いたいことは同じ。ビジネスで成功を積み重ねてきた両氏の言葉だけに、なんとも説得力がある。
最初の名言「小さいことにくよくよしろよ」。どんな些細な約束でも必ず守る。常に気配り目配りができなければ、大きな仕事などできるはずがない、という名言。
社会人として当然のことに聞こえるかもしれない。
しかし改めて言われると、得意先や上司に対してだけではなく、部下や取引先に対してまでも、完璧にこなせている人はどれだけいるだろう。
24時間365日、本書のようなスタンスでいられるか?と聞かれれば、ちょっと疲れそうなので答えは「No」。しかし、自分に甘えが見えたとき、自らの姿勢を正すために、本棚から引っ張りだして読み返す必要がある。バイブル的な長い付き合いができそうな一冊である。
2011年08月01日 by 佐々 淳一 おすすめ度 ★★☆☆☆
\840(PHPビジネス新書)

人に何かを伝えるということ
この本を読んで書評を書くのは、正直緊張してしまう。
この書評がいったい何を言いたいのか、読んだ人に伝わらなければ、この本に出会った価値がない。
日頃から感じるが、自分の考えていることがきっちりと相手に伝わった時はとても嬉しい。逆になかなか伝わらず、ついには自分でも何を言いたいのかわからなくなってしまうと、情けなくとても悔しい。
相手にとっても、分かり易く伝えてくれれば嬉しいし、何を言っているのか分からなければイライラする。
分かり易く伝えるには、子供でも理解できるように説明する必要がある、と本書にある。そのためには、その物事の背景、情報をしっかりと理解できていなければ噛み砕いて話ができない。
私にも3歳の息子がいるが、最近何に対しても「なんで?」「どうして?」の繰り返し。子供には一切のごまかしはきかず、ドキッとするような質問を浴びせられ返答に困ることがある。そんなときは決まってその物事について理解、知識が足りない時である。
ビジネスの現場においても、同じことが言える。私たちのフィールドは税法と会計。時として専門用語のオンパレードな説明になってしまうことがある。しかし、その事柄について、より深い知識や情報があれば、分かり易く説明ができるはず。
本書の中で「カタカナ語」の使用についての記載があるが、まさに同じこと。一見そんな専門用語を使って説明されると「頭が良さそう」「格好良い」と思ってしまいがちだが、結局のところ何が言いたかったのか分からない、狐につままれたような気持ちになることは良くある。
本気で相手に何かを伝えようと、少しでも相手の身になって考えることができれば、そんな専門用語を使うことはないはずである。
結局のところ、子供に対しても、ビジネスの現場においても、人に何かを伝えられるかどうかは、「相手を思う気持ち」の大きさで決まるんじゃないかと思う。
本気で相手に何かを伝えたいと思えば、時には知識や情報をインプットしたり努力をするもの。とりあえず、身近で最高の「先生」かもしれない、我が家の息子と正面から向き合ってみよう。
2011年05月09日 by 佐々 淳一 おすすめ度 ★☆☆☆☆
\550(鉄人社)

ポジティブシンキングに疲れたときに
ここ最近、震災の影響で日本全体が自粛ムード。原発の問題も含め、ネガティブな情報ばかりが蔓延し、テレビを見ていても何か不安を煽られてしまうのは私だけではないと思う。
数あるネガティブニュースの中でも極めつけは増税の動き。
ただでさえ冷えきっていた日本経済再生のカンフル剤であるはずの消費行動をさらに悪化させることにならないのか?
被災者の方々の心情を考慮すれば当たり前なのかもしれないが、こんな時だからこそ、政府やマスコミにはせめて将来に希望が持てる活動をお願いしたいものである。
ふと、希望を持ちたいこの時期に思い出した事がある。
私がこの仕事に就いて間もない頃、
知識や経験不足からくる不安を和らげるために、様々な本を読みあさった事。
不安を和らげるには情報収集が一番とばかりに、専門書だけではなく、歴史的に名のある経営者の自伝や哲学書、経営に必要と考えられている能力やノウハウに関する本など…。
その中には仕事への姿勢として自己啓発本も含まれていたが、
思い出してみるとすべてポジティブシンキングの勧め。
その考え方が正しいと思い込み、何かに取り憑かれたように自らを奮い立たせて追い込んで来たように思う。
5年が経った時、案の定体調を崩してしまったが…。
決してポジティブシンキングを否定する訳ではないが、何事も偏ると疲れる。
この本は、ポジティブシンキングに疲れた時に読むとホッとするかもしれない。なぜこんな本がアマゾンの上位にランキングされているのかと思ったが、読んでみるとネガティブシンキングも良いじゃないか?と思わされる一面もある。
「したいけれど、できない。できるけど、したくない。」とは、歴史的に名高いゲーテの名言である。
不景気と言われる昨今、特に耳にするようなネガティブ発言。
しかし、そんな人間の欲求が利便性に優れた現代を創り出したと思えば、ネガティブシンキングも決して否定できない。
2011年03月11日 by 佐々 淳一 おすすめ度 ★★★★☆
カーマイン・ガロ (著), 外村仁 解説 (その他), 井口耕二 (翻訳) /\1,890(日経BP社)

わずか5分間のデモのための数百時間の練習。
人に何かを伝えようとした時、情報をまとめきれずに、独りよがりになって失敗してしまったことは、誰もが経験したことがあるのではないだろうか。
私も最近になってセミナー講師を担当することがあるが、そのセミナーの資料作成に没頭するあまりテーマを忘れ、何を伝えたかったのか自分自身でわからなくなってしまうことがよくある。
その対極にあるのがシンプルに研ぎ澄まされたスティーブ・ジョブズのプレゼンである。ジョブズのプレゼンはもちろん英語であるが、プレゼンのポイントが聞いた人の心に残りやすいので、私たちに日本語で伝わってくる時にもインパクトが薄れることがない。
iPhoneやMacが欲しくなってしまう、私もその一人である。
そんなプレゼンを実現するためのテクニックとして、プレゼンスライドの作り方や話し方はもちろん、アイコンタクト、姿勢、手振りなどに加え、声の大きさやスピードにまでこだわっている事をこの本を読んで知った。
そして何より納得したのは、
ジョブズがわずか5分間のデモのために数百時間の練習をしていること。
台本を読んで終わりのプレゼンではなく、内容を徹底的に頭に叩き込み、いかに聞き手との一体感を生むことができるかが勝負である。
この本に書かれている事を実践すれば、とりあえずジョブズ流プレゼンのコツが形式としては理解できると思う。読めば誰でもジョブズになれるわけではないが、新商品のプレゼンやセミナーの講師など、人に何かを伝えなければならないその前に一読する価値はある。